歯の土台「コア」、素材で何が変わる?ファイバーコアとメタルコアを比較|お知らせ

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歯の土台「コア」はファイバーコアとメタルコア、どちらがいい?素材の違いを解説します

メタルポストとファイバーポストの比較写真。左がMANI社のメタルポスト、右がファイバーポスト(1.4mmと1.6mm)

歯の土台「コア」、素材で何が変わる?ファイバーコアとメタルコアを比較
 
虫歯が深くなったり、根の治療(根管治療)を行ったりしたあと、被せ物の前に「コア」と呼ばれる土台を作る必要があります。このコアには大きく「メタルコア」と「ファイバーコア」の2種類があり、どちらも保険診療で対応しています。
「どちらも保険で使えるなら同じでは?」と思われるかもしれませんが、素材の性質が違うため、歯への影響や万が一のときのリスクに差があります。今回はその違いをわかりやすくご説明します。
 

コア(土台)とはどんな役割があるの?

根管治療を行った歯は、神経や血管が取り除かれているため、歯の内部に栄養や水分が届かなくなります。その結果、歯質が徐々に乾燥・脆化し、健康な歯に比べて割れやすい状態になります。また、虫歯が深かった場合は歯質そのものが大きく失われていることも多く、被せ物だけでは十分な強度を確保できません。

そこで歯の内部にコアを立て、しっかりとした土台を作ってから被せ物を装着します。コアは外からは見えない部分ですが、被せ物を安定して支えると同時に残った歯根を守る役割も担う、非常に重要な構造物です。どの素材を選ぶかが、その歯の長期的な予後を左右することもあります。
 
メタルコアの特徴
メタルコアは金属(銀合金やコバルトクロム合金など)で作られた土台です。長年にわたって歯科治療で使われてきた実績があり、保険診療で対応しています。
メリット
・保険適用で治療費を抑えられる
・硬くて強度が高いため、歯質が大きく失われた歯にも対応しやすい
・歴史が長く、豊富な使用実績がある
デメリット
・金属の色が透けて歯ぐきや被せ物が黒ずんで見える「メタルシャドー」が起きやすい。特に前歯など目立つ部位では審美的な問題になりやすい
・金属アレルギーのある方には使用できない
・万が一歯根が折れた場合、金属の硬さゆえに重篤な割れ方になりやすく、抜歯が避けられないケースが多い1
 
ファイバーコアの特徴
ファイバーコアはグラスファイバー(ガラス繊維)をレジン(歯科用樹脂)で固めた素材で作られた土台です。こちらも保険診療で対応しています。
メリット
・白い素材のため被せ物への透け感がなく、審美的な仕上がりになりやすい。前歯や口元が気になる方に特に適している
・金属を一切使わないため、金属アレルギーの方でも安心して使用できる
・万が一歯根が折れた場合でも、しなやかな素材の特性から、ダメージが小さく済む割れ方になりやすい2
・MRI撮影への影響がない
・歯とコアを接着材でしっかり一体化できるため、密封性が高く細菌の侵入を防ぎやすい
デメリット
・歯質の残量が非常に少ない場合など、症例によってはメタルコアの方が適していることがある
・接着操作の精度が仕上がりに影響しやすいため、術者の丁寧な処置が重要になる
 
「どちらも折れるリスクはある」でも、折れ方が違う

よく誤解されるのですが、「ファイバーコアなら歯根が折れない」ということはありません。メタルコアでもファイバーコアでも、歯根破折(根が割れること)のリスク自体はどちらにも存在します。3
ただし、大きく異なるのは「折れてしまったときの状況」です。
メタルコアは硬い金属のため、歯根が折れる際に深く縦方向に割れる深刻な破折パターンになりやすく、歯を残すことが非常に難しくなるケースが多い傾向があります。一方ファイバーコアは歯根に近いしなやかさを持つ素材のため、万が一折れた場合でも比較的浅い位置での破折にとどまりやすく、対処できる可能性が残るとされています。1,2
「折れやすさ」は変わらなくても、「折れたときの被害の大きさ」が異なる——これがコア選択において見落とされがちな、しかし重要なポイントです。
 
どちらを選べばいいの?

一概にどちらがよいとは言えませんが、いくつかの観点から整理すると判断しやすくなります。
審美性を重視する場合や金属アレルギーがある場合、また前歯・小臼歯など目立つ部位の治療ではファイバーコアが適していることが多いです。一方、歯質の残量が極端に少なく強固な土台が必要な場合は、メタルコアの方が向いているケースもあります。
費用面ではどちらも保険適用のため大きな差はありません。最終的には歯の状態・噛み合わせ・審美的なご希望などを総合的に判断して決めていきます。
 
当院でのコア選択の考え方

当院では治療前に患者さまのお口の状態をしっかり確認し、それぞれのコアのメリット・デメリットをご説明したうえで、患者さまと一緒に素材を選んでいただいています。「どちらにすべきか迷っている」「以前メタルコアを入れたが気になっている」といったご相談も歓迎しています。根管治療後の土台についてご不明な点がありましたら、いつでもお気軽にお声がけください。
ご相談・ご予約はお気軽にどうぞ。
 
参考文献
1. Fernandes AS, Dessai GS. Factors affecting the fracture resistance of post-core reconstructed teeth: a review. Int J Prosthodont. 2001;14(4):355-363.
2. Goto Y, Nicholls JI, Phillips KM, Junge T. Fatigue resistance of endodontically treated teeth restored with three dowel-and-core systems. J Prosthet Dent. 2005;93(1):45-50.
3. Cheung W. A review of the management of endodontically treated teeth. Post, core and the final restoration. J Am Dent Assoc. 2005;136(5):611-619.
4. 日本歯科保存学会. 歯内療法ガイドライン. 2022年版.

監修者  鳥居 秀平  医療法人社団 悠和会 北野坂鳥居歯科医院/理事長

「医は仁術」の理念に基づき、患者様の気持ちに寄り添い、誠実で愛情ある治療を行うことを大切にしています。当院では、患者様の不安や希望を伺い、その方に適した治療を提供することを重視しています。オペ室や歯科用CT、マイクロスコープなどの設備を整え、安全で信頼できる治療環境を整えており、スタッフ一同、患者様の大切な歯を守るために努めております。

略歴

  • 1994年 日本大学松戸歯学部卒業
  • 1996年 英国マンチェスター大学研究在籍
  • 1998年 国立大学 東京科学大学大学 歯学部 文部教官
  • 1998年 東京科学大学付属歯科衛生士学校 講師
  • 1999年 国立大学法人 東京科学大学大学院医歯学総合研究科
    顎顔面機能再建学系専攻 文部科学教官
  • 2001年 北野坂鳥居歯科 開業

所属

  • 日本口腔インプラント学会 専門医、指導医
  • アジア口腔インプラント学会 認定医