削らない治療がフェルールを守る|麻布十番歯科オーラルケア

被せ物の成功は「残った歯の量」で決まる
神経を取った歯に被せ物をするとき、歯科医師が重視するのが「フェルール」です。被せ物の縁より上に、健康な歯質が全周にわたって1.5〜2mmほど残っている状態を指します。この歯質が帯のように被せ物を抱え込み、噛む力を分散して、歯根の破折や土台の脱落を防いでくれます。
大切なのは、フェルールは後から作れるものではなく、これまでの治療でどれだけ歯を残せたかの結果だということです。一度削った歯質は元に戻りません。
削るたびに、フェルールは失われていく
従来の治療では、むし歯の部分に加えて、被せ物を安定させるために健康な部分も削ることが一般的でした。削る量が増えるほど歯は弱くなり、再治療のたびにさらに削られ、神経の処置、被せ物、歯根の破折、抜歯へと進む「負の連鎖」に陥りやすくなります。
この連鎖を断つには、そもそも健康な歯を削らない治療を選べるかどうかが重要です。
当院が導入している「amidex(アミデックス)」
当院では、この考え方を実践するために、徳島大学発のamidexを導入しています。開発者の一人である徳島大学大学院教授の保坂啓一先生は、20年以上にわたり歯の接着を研究し、デジタル技術と透明な型枠を活用した白いつめものの接着治療を開発しました。
Amidexは、事前に設計した歯の形を口の中で再現する透明な型枠(クリアインデックス)を、デジタル技術で設計・製作するシステムです。患者さんの歯をデジタルスキャンして型枠を設計し、そこにコンポジットレジン(歯科用樹脂)を流し込んで、LED光で硬化させます。
レジンは接着によって歯に直接つくため、被せ物のように土台を整えるための切削を最小限にできます。従来の手作業によるレジン修復と比べて治療時間を50〜70%短縮でき、1歯あたり15分程度とされています。また、事前に設計した形を再現するため、仕上がりのイメージを治療前に共有しやすいことも特長です。
フェルールの視点から見たamidexの意義
- 健康な歯質を温存できる:欠けた歯やむし歯を、削る量を抑えて修復でき、将来のフェルールとなる歯質を残せます。
- 神経を守ることにつながる:大きく削らないことで、神経を取らずに済む可能性が高まります。神経のある歯は、神経のない歯より割れにくいとされています。
- 再治療に強い:レジン修復は、傷んだ部分だけを足したり直したりしやすく、やり直しのたびに歯を大きく削る必要がありません。
フェルールが「失ってから守るもの」だとすれば、amidexのような低侵襲治療は「失わないための入口」といえます。
すべての歯に適用できるわけではありません
大きく崩れた歯や、すでに神経の処置を終えた歯では、被せ物が適している場合もあります。その際は、フェルールを意識した設計が欠かせません。当院では、精密な診査のうえで、削らずに済む歯は削らず、被せ物が必要な歯はフェルールを確保して設計するという使い分けを大切にしています。
今ある歯を、一生使うために
むし歯や歯の欠けに気づいたら、早めの受診が最善策です。小さいうちなら、削る量も最小限で済みます。治療後は、歯ブラシに加えてフロスや歯間ブラシで境目を清潔に保ち、定期検診を受けてください。歯ぎしりが気になる方は、ナイトガードも有効です。
麻布十番歯科オーラルケアは、「できるだけ削らず、できるだけ残す」ことを大切に、10年、20年先の歯の健康を見据えた治療を行っています。気になる歯がある方は、お気軽にご相談ください。
監修者 鳥居 秀平 医療法人社団 悠和会 北野坂鳥居歯科医院/理事長
「医は仁術」の理念に基づき、患者様の気持ちに寄り添い、誠実で愛情ある治療を行うことを大切にしています。当院では、患者様の不安や希望を伺い、その方に適した治療を提供することを重視しています。オペ室や歯科用CT、マイクロスコープなどの設備を整え、安全で信頼できる治療環境を整えており、スタッフ一同、患者様の大切な歯を守るために努めております。
略歴
- 1994年 日本大学松戸歯学部卒業
- 1996年 英国マンチェスター大学研究在籍
- 1998年 国立大学 東京科学大学大学 歯学部 文部教官
- 1998年 東京科学大学付属歯科衛生士学校 講師
- 1999年 国立大学法人 東京科学大学大学院医歯学総合研究科
顎顔面機能再建学系専攻 文部科学教官 - 2001年 北野坂鳥居歯科 開業
所属
- 日本口腔インプラント学会 専門医、指導医
- アジア口腔インプラント学会 認定医
